1996年に人生最後?のツーリングに旅立った。
北海道爆走2000kmである。
その顛末をここに連載する。
その1
憧れの北の大地は、今年も訪れるさすらい人に、分け隔てなく、夢とロマンを与えてくれるだろうか?
そんな不安を抱きながら、ついに旅立つ日がやって来た。40歳を過ぎての初めての北海道ツーリングである。
我が鉄馬、カワサキGPZ1100は頗る快調、騎手を振り落とす勢いだが、落馬は御免、手綱を引き締めいざ出陣。
8月10日(土)曇り。
仙台からの苫小牧行きフェリーの予約にあぶれ、青森港まで自走する羽目になった。
走りを満喫しに行くのである。「それもまた楽しからずや」だ。
今日から8月15日(木)帰着するまでの5泊6日の旅となるが、往復のフェリーで2泊することになるので、実質は北海道内3泊4日の強行軍となる。
お盆期間中とはいえ、墓参りは早々に済ませ、憂いはない。
青森港21時30分発、室蘭行き東日本フェリーに乗船すべく13時に自宅を出発、東北自動車道を北上する。
岩手県の盛岡までは何度も走行したことがある慣れた高速道だが、その先は処女走行となる。この東北自動車道は、仙台を起点として、北は直線が多くとても走りやすい。とりわけ盛岡までは、まわりの景色は殆どが田園風景なのだが、道路だけを評価の対象にすれば、言うことがないほど走りやすい。80km/hの規制のない区間である。
それに引き換え、南はいただけない。カーブが多く高速道としては最低である。これまで何度となく川口JTCまで走っているが、何度走ってみても好きになれない道である。
もっとも、東名、名神など大都市を結ぶ高速道よりはましなのかもしれない。
そんなことを考えているうちに、盛岡インターを過ぎた。時間は15時を回っている。今まで曇っていたが、ここに来て太陽が顔を出し始めた。
高速道左手には、標高2041mの「南部富士」岩手山がその雄姿を見せている。ここから先は、前述のように処女走行となるが、気ままの虫が動き出した。急に十和田湖が見たくなったのだ。20年前の若かりし頃に1度見たきり行ったことがない。奥入瀬の清流が心に残っている。
フェリー乗船は21時30分、十分に時間はある。
十和田インターを出て、R103で十和田湖を目指すことにした。
西根インター辺りを過ぎた。正面に、そう高くはなく、やや赤みを帯びた山々が絨毯を敷いたように広がって見える。この辺りからは丘陵といってもいいほどの八幡平の眺望である。
左手の南部富士との対象が、何とも言えず荘厳なイメージで自然のカンバスに納まり、絵画的でさえある。これにまさる芸術があろうか?
盛岡から約100kmで十和田インターに着いた。R103を一路十和田湖へ。
渋滞もあり、17時頃に発荷峠展望台に着いたが、100名ほどの観光客が展望台を占領していたので、展望はあきらめ通過することにした。
ここからはR454、R102経由で、右手に湖面を望みながら、狭い山道をひたすら登って行く。
湖面の色は、染み透るような青である。若者はあまり使わなくなった言葉だが、いわゆる群青である。
色の美しさに感動しているうちら、大変なことに気付いた。燃料計が左端にへばりついている。ここから峠越えの山道が続く、ガソリンスタンドなどあるはずもない。
黒石市近郊までは約30kmはある。燃料タンクを覗いて見た。まだ、2リッターはある。通常リッター20kmは走るが、如何せん峠道である。不安だが戻るわけにもいかないので、このまま走ることにした。何とかなるだろう?
この辺りは結構なワインディングロードで、バイクをバンクさせながらのカーブの連続である。仲間がいれば、きっと華麗な運転技術を披露しあうところだろう。
高速道と一般道を乗り継いで、青森港フェリーターミナルに着いたのは、日も暮れなずむ19時頃である。ガソリンも何とか間に合った。
フェリーターミナルにはバイクだけでも100単位の数が駐車スペースを埋めている。
それぞれがロマンを胸に秘めての北海道ツーリングなのだろう。
自分も今、その中の一人になっていることに幸せを感じ、思わず笑みが零れる。
さっそく乗船券を求めにターミナルビルに行く。予約していた乗船券を無事に手にしたが、乗船は19時30分からだという。初めてフェリーに乗るので分からなかったが、バイクは一番初めにフェリーに積まなければならないので、出発の2時間前には来ていなければならないそうである。それを逸するとバイクを積むことはできなくなる。
19時に着いていてほんとうによかった。
無事に乗船を済ませたが、出航2時間前である。何もすることはないが、とりあえず風呂に入ることにした。
風呂の中で、疲れた体を癒しながら、明日の早朝から始まるツーリングの構想を練る。
明日の宿さえ決めていない「さすらいツーリング」なのだ。
とにかく1日目は道央、2日目は道北、3日目は道東と大雑把な方向を決める。
道央では、室蘭地球岬-昭和新山-洞爺湖-支笏湖-札幌と回り、札幌泊とする。
道北では、札幌から旭川-士別-朱鞠内湖-苫前-羽幌-サロベツ原野-稚内まで行きノシャップ岬泊とする。
道東では、稚内から宗谷岬-浜頓別-紋別-湧別-遠軽-北見-美幌峠-屈斜路湖-摩周湖-阿寒湖-オンネトーまで行き、最後の宿を道東の秘湖、オンネトーと決める。
1年以上前から机上でのシュミレーションツーリングは何度もやっているので、北海道の地図は頭に叩き込んでいるのである。
本日の走行距離400km、風呂からあがって早々に、2等船室に横になり、エンジンの振動を全身マッサージの子守唄がわりに、早めの眠りについた。
北海道爆走2000kmである。
その顛末をここに連載する。
その1
憧れの北の大地は、今年も訪れるさすらい人に、分け隔てなく、夢とロマンを与えてくれるだろうか?
そんな不安を抱きながら、ついに旅立つ日がやって来た。40歳を過ぎての初めての北海道ツーリングである。
我が鉄馬、カワサキGPZ1100は頗る快調、騎手を振り落とす勢いだが、落馬は御免、手綱を引き締めいざ出陣。
8月10日(土)曇り。
仙台からの苫小牧行きフェリーの予約にあぶれ、青森港まで自走する羽目になった。
走りを満喫しに行くのである。「それもまた楽しからずや」だ。
今日から8月15日(木)帰着するまでの5泊6日の旅となるが、往復のフェリーで2泊することになるので、実質は北海道内3泊4日の強行軍となる。
お盆期間中とはいえ、墓参りは早々に済ませ、憂いはない。
青森港21時30分発、室蘭行き東日本フェリーに乗船すべく13時に自宅を出発、東北自動車道を北上する。
岩手県の盛岡までは何度も走行したことがある慣れた高速道だが、その先は処女走行となる。この東北自動車道は、仙台を起点として、北は直線が多くとても走りやすい。とりわけ盛岡までは、まわりの景色は殆どが田園風景なのだが、道路だけを評価の対象にすれば、言うことがないほど走りやすい。80km/hの規制のない区間である。
それに引き換え、南はいただけない。カーブが多く高速道としては最低である。これまで何度となく川口JTCまで走っているが、何度走ってみても好きになれない道である。
もっとも、東名、名神など大都市を結ぶ高速道よりはましなのかもしれない。
そんなことを考えているうちに、盛岡インターを過ぎた。時間は15時を回っている。今まで曇っていたが、ここに来て太陽が顔を出し始めた。
高速道左手には、標高2041mの「南部富士」岩手山がその雄姿を見せている。ここから先は、前述のように処女走行となるが、気ままの虫が動き出した。急に十和田湖が見たくなったのだ。20年前の若かりし頃に1度見たきり行ったことがない。奥入瀬の清流が心に残っている。
フェリー乗船は21時30分、十分に時間はある。
十和田インターを出て、R103で十和田湖を目指すことにした。
西根インター辺りを過ぎた。正面に、そう高くはなく、やや赤みを帯びた山々が絨毯を敷いたように広がって見える。この辺りからは丘陵といってもいいほどの八幡平の眺望である。
左手の南部富士との対象が、何とも言えず荘厳なイメージで自然のカンバスに納まり、絵画的でさえある。これにまさる芸術があろうか?
盛岡から約100kmで十和田インターに着いた。R103を一路十和田湖へ。
渋滞もあり、17時頃に発荷峠展望台に着いたが、100名ほどの観光客が展望台を占領していたので、展望はあきらめ通過することにした。
ここからはR454、R102経由で、右手に湖面を望みながら、狭い山道をひたすら登って行く。
湖面の色は、染み透るような青である。若者はあまり使わなくなった言葉だが、いわゆる群青である。
色の美しさに感動しているうちら、大変なことに気付いた。燃料計が左端にへばりついている。ここから峠越えの山道が続く、ガソリンスタンドなどあるはずもない。
黒石市近郊までは約30kmはある。燃料タンクを覗いて見た。まだ、2リッターはある。通常リッター20kmは走るが、如何せん峠道である。不安だが戻るわけにもいかないので、このまま走ることにした。何とかなるだろう?
この辺りは結構なワインディングロードで、バイクをバンクさせながらのカーブの連続である。仲間がいれば、きっと華麗な運転技術を披露しあうところだろう。
高速道と一般道を乗り継いで、青森港フェリーターミナルに着いたのは、日も暮れなずむ19時頃である。ガソリンも何とか間に合った。
フェリーターミナルにはバイクだけでも100単位の数が駐車スペースを埋めている。
それぞれがロマンを胸に秘めての北海道ツーリングなのだろう。
自分も今、その中の一人になっていることに幸せを感じ、思わず笑みが零れる。
さっそく乗船券を求めにターミナルビルに行く。予約していた乗船券を無事に手にしたが、乗船は19時30分からだという。初めてフェリーに乗るので分からなかったが、バイクは一番初めにフェリーに積まなければならないので、出発の2時間前には来ていなければならないそうである。それを逸するとバイクを積むことはできなくなる。
19時に着いていてほんとうによかった。
無事に乗船を済ませたが、出航2時間前である。何もすることはないが、とりあえず風呂に入ることにした。
風呂の中で、疲れた体を癒しながら、明日の早朝から始まるツーリングの構想を練る。
明日の宿さえ決めていない「さすらいツーリング」なのだ。
とにかく1日目は道央、2日目は道北、3日目は道東と大雑把な方向を決める。
道央では、室蘭地球岬-昭和新山-洞爺湖-支笏湖-札幌と回り、札幌泊とする。
道北では、札幌から旭川-士別-朱鞠内湖-苫前-羽幌-サロベツ原野-稚内まで行きノシャップ岬泊とする。
道東では、稚内から宗谷岬-浜頓別-紋別-湧別-遠軽-北見-美幌峠-屈斜路湖-摩周湖-阿寒湖-オンネトーまで行き、最後の宿を道東の秘湖、オンネトーと決める。
1年以上前から机上でのシュミレーションツーリングは何度もやっているので、北海道の地図は頭に叩き込んでいるのである。
本日の走行距離400km、風呂からあがって早々に、2等船室に横になり、エンジンの振動を全身マッサージの子守唄がわりに、早めの眠りについた。
「北海道爆走2000km!」連載楽しみです!私もバイク乗りでしたので、しかし私の場合「憧れのツーリングの地」北海道は計画が流れて行けませんでした(残念)。バイクについては最近また微熱?が出てきました、教室の生徒さんで現役ハーレー乗りの方、最近モトグッチからBMWに乗り換えた方、昔CB乗り、スーパーカブで蔵王ツーリング!した方などバイクマニアの方と休憩時間盛り上がってますので。