2294b897.jpg「戦艦大和」の探査から5年が経つ。
戦後派の人までなら誰もが知っていた「大和沖縄特攻」の悲劇。3000人が263mの巨大戦艦とともに海の藻屑と消えた。悲しい物語である。
詩に想いを込める。

「海のモニュメント」
東シナ海の深海に眠る
巨大な海のモニュメント

終戦から一桁の
戦後派の心を捉えるのに
模型で見る神秘の勇姿は
あまりにも美しかった

まだ日本海軍の象徴として
広く語り継がれた時代である

巨大戦艦大和
戦後派一桁なら
誰もが知っていた
その儚い運命

50年を超えて
今や伝説となったその物語が
現実のものとなった

映像が最後の断末魔を
白日の下にさらす

全長263mの船体は
真っ二つに折れ
艦尾から180mは
船体に大きな穴をあけ
ひっくり返って
腹を見せている

艦首から90mは45度に傾き
かろうじて原型を留めている

世界に二つとない
三つの主砲45Cm砲は
ひっくり返って海底に刺さっている

何と哀しい最後であろうか
不沈艦といわれた
海に浮かぶ巨大な要塞の
最後の姿である

敗色濃い昭和20年4月7日
戦艦大和は
国のために覚悟を決めた
15才の少年兵も含め
3000人の乗組員とともに
沖縄特攻という死の戦に赴いた
1000m上空に暗雲立つ
不吉な日であったという

やがて東シナ海において
死闘が演じられる
戦艦であるために
艦上機を持たない
大和の劣勢は明らかで
次から次へと
魚雷が船体に損傷与える

やがて浸水し船体が傾き
ひっくり返って
大爆発を起こし沈没する

この戦いに関わった敵の戦闘機は
1000機であったという

涙が溢れた
止めど無く涙が溢れた

ただ見れば鉄の残骸だが
そこには3000とおりの
切ない物語があると思うと
涙を止めることはできなかった

艦首の1.5mの菊の紋章
日本の象徴が白々しく見える

この3000人の物語を
今の日本人は忘れてはいまいか
決して過去の亡霊ではない
3000人の人柱を心の礎を
大切に受け留めて欲しい