ワシントンに30年以上居住し、アメリカの政治を知り尽くしている国際政治アナリストの伊藤貫氏の表題の口述筆記NO.4です。
最後の「核の傘」についてです!

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3つ目の嘘、アメリカの核の傘が機能しないというのは、ちょっと面倒くさい話になりますが、実は核戦略理論にミニマム ディテレンス理論とカウンター フォース理論というのがあって、ミニマム ディテレンス理論というのは、核弾頭というのは、お互いの数百の大都市を破壊するだけの能力があれば、抑止力として機能するから、それ以上持っても無駄であるということです。
カウンター フォース理論というのは、核ミサイルの打ち合いをやって、どちらかが優位に立つことは可能であるという理論です。

ちょっと専門的な話になるので、短く言います。
カウンター フォース理論というのは、ハーマン・カーンとかウォルス・ステターとかいう人たちが開発した理論で、それによるとアメリカとロシアは、何千発の核を打ち合って決着をつけるということです。
逆にミニマム ディテレンス理論を提唱して来た、コロンビア大学のジャービスとかMITのポーゼン、それからシカゴ大学のミア・シャイマー、ハーバードのウォルト、それから一番有名なのは、カリフォルニア大学のケニス・ウォルツ、彼が一番大物ですが、彼らは数百発持てば十分で、核ミサイルの打ち合いをやって決着をつけるというのは、ミニマム ディテレンス理論の信奉者で、アメリカは日本のために核ミサイルの打ち合いをやることは有り得ないということです。

不思議なことに外務省、防衛省、自衛隊の幹部はカウンターフォース理論を信じるフリをしているのです。
どうしてフリをするかというと、カウンターフォース理論を信じるフリをすれば、もし中国、北朝鮮、ロシアが日本に核ミサイルを撃ち込んできた場合、アメリカは中国、北朝鮮、ロシアとバンバン核ミサイルの打ち合いをやって決着をつけてくれるので、中国、北朝鮮、ロシアは日本に核攻撃をかけないだろうということになっているのです。
実際にこれが可能かというと、それは全く可能ではない訳です。
日本にカウンターフォース理論を躾けて来たのは、ケネディー政権とジョンソン政権のマクナマラ国防長官とマクジョージ・バンディー安全保障補佐官なのですが、二人とも、彼らが仕事をしている間は、日本に、そしてドイツに対してカウンターフォース理論を押し付けて来たのですが、二人とも引退した後は、ミニマム ディテレンス理論が正しく、カウンターフォース理論はイカサマであると言っています。
アメリカがロシア(ソ連)と核ミサイルの打ち合いなどやる訳がなく、二人ともアメリカが他の国からアメリカに1発の核弾頭が飛んでくる可能性を想像するだけで、アメリカの大統領は核戦争から逃げ出すだろうと言っています。

日本にカウンターフォース理論を押し付けて来て、核の傘があるから大丈夫だと言ったその張本人が、引退した後は、核の傘など冗談ではないと、他の国のために核戦争などするつもりはない、とハッキリ言っている訳です。
「核の傘」などというものは全くの嘘な訳です。

また、村田良平さんの引用になりますが、村田さんは核不拡散条約NPTという不平等条約が作られた目的の7割は、日本とドイツに核を持たせないためであり、NPTは日本とドイツを抑え付けるための条約である。
アメリカの日本に対する核の傘の保証は文書にした形で日本に約束されたものではない。
アメリカが核兵器で中国やロシアと戦争をするかという過程の場合、日本に核の傘の保証をアメリカが提供する用意は、そもそも持っていないことは明らかであるが、それにも拘わらず、日本人は自分たちが世界唯一の核の被爆国であるということで、感情的な議論しか出来ず、冷静な核戦略理論に対する議論が出来ない状態である。
アメリカの核の傘に対する信頼性は、アメリカ政府が北朝鮮に核ミサイルを持たせて、それを止めようともせず、既に地に落ちている。
従って日本は、潜水艦による自前の核抑止力を保有するのが最も適切である。
このように書いておられます。

「日本を滅ぼす3つの巨大な嘘!」の結論部分です。

アメリカが日本に押してけて来た占領軍憲法、それからダブルコンテインメント アライアンス(二重封じ込め政策)、実質的に日本を押さえつけておくための日米同盟、それから核の傘の保証、というのは3つとも「ビッグ ライズ=巨大な嘘」なのだということがお判りだろうと思います。
このまま行けば日本がどうなるか?3つのシナリオを言います。

最悪の場合は、日本は2〜3年後に中国の属国になります。
どうしてそうなるかというと、今、アメリカがウクライナを利用して、ロシアと戦争を始めました。
最近2ヶ月はロシアにとって有利な状態に進んでいる訳ですが、しかも運の悪いことに、イランが恐らく1年以内に核武装に成功するであろうと言われています。
イランが持っている濃縮ウランかプルトニュームは既に核弾頭を作るレベルに達して来た訳です。
今後、数か月でイランは核弾頭を作れる状態に達する訳です。

アメリカ政府は、バイデン大統領が、もしイランが核弾頭を持ったら、アメリカはイランとの戦争を辞さない、と言っている訳です。
数ヶ月後、長くても1年後にはイランは核弾頭を持てる訳です。

そうするとウクライナで、やらなくても良い戦争を始めたアメリカは、イランが核兵器を持ったという理由で、戦争をせざるを得ない状態に追い込まれて行く訳です。

アメリカの政治はイスラエルロビーが圧倒的に強く、アメリカの政治家は民主党も共和党もイスラエルロビーには絶対に逆らえない状態なので、イスラエルロビーは既にイランと戦争をしろと言っている訳です。
イランとアメリカが戦争するとどうなるいかというと、イランという国はイラクよりも3〜4倍も国力のある国で、軍事力も強く、イラン人はアラブ人よりも、ハッキリ言って優秀なのです。
アメリカがイランと戦争を始めたら、イラクやアフガニスタンと戦争するというレベルでは持たなくて、大戦争になる訳です。
アメリカとイランが戦争を始めたら、アメリカの陸海空軍、海兵隊の主力は全部イランに集中しなければならなくなります。

アメリカの軍事力が、イランを叩きのめすために中東に集中しているときに、中国が台湾を攻めたらどうなるかというと、アメリカは絶対に中国とは戦争が出来ません。100%不可能です。

そうするとアメリカは中国に台湾を取らせるしかありません。
その結果、日本はどうなるかというと、アメリカが全くやらなくてもいい愚劣な戦争をウクライナで始めて、そしてイランでも始めて、そのおかげで中国が台湾を取ってもアメリカは中国を相手に本格的な戦争が出来ないということになります。
これで日本は万事休す、中国の属国になるしかないのです。
これが最初のシナリオです。

次のシナリオは、2028年から2030年頃にかけて、中国の東アジアにおける通常戦力の能力がアメリカを凌駕します。
更に中国は、今、物凄い勢いで核弾頭の数を増やしています。
次の8年間で千数百発増産すると言われています。
アメリカは中国の核が怖いので、中国と真正面から戦争することは出来なくなる訳です。

既にアメリカの太平洋艦隊の総司令官であるジョン・アキリーノ海軍大将が次のように述べています。
2027年頃に中国とアメリカのアジアにおける軍事力が均衡した状態になり、アメリカが中国を台湾から排除することが非常に難しくなる。
しかも中国はニュークリア ブラックメール(核兵器による恫喝)を日本やアメリカに対して使うことが出来る。アメリカが東アジアの戦争に介入することは益々難しくなる。
このように述べています。

今から6〜7年後には、東アジアの軍事バランスが、中国に有利な状態に変わって行き、その場合にアメリカが日本を守るために出て来るかとうことは疑問です。
日本が自主的な核抑止力を持てば日本は大丈夫なのですが、アメリカは北朝鮮と中国とロシアがどれだけ核兵器を持っても日本にだけは核を持たせないと決めています。
既に2度も核戦争犯罪の犠牲になった日本人にだけは核兵器を持たせないと、核戦争犯罪を実行したアメリカが言っているのです。
これは非常にグロテスクで酷いことです。
このようなグロテスクな状態を日本は受け入れていて、2027〜2028年以降は東アジアで中国の軍事力がアメリカよりも優勢になって行くのです。
このような情勢から日本が日本足り得ることは難しく、中国の属国になるしかないのです。

最後の3つ目のシナリオは、2030年代になるとアメリカは、どういう国になるかというと、現在でさえトランプ大統領の大統領選挙で誰が勝ったのかが分からない状態で、共和党と民主党は本気で憎み合っています。
バイデン大統領の支持率は30%〜33%しかありません。
アメリカの貧富の格差は先進国で一番酷い訳で、しかも人種問題もどんどん悪くなっています。
これは何故かというと、現在の19歳から20歳の人口を見ると少数民族が多数波な訳です。
要するに白人が少数民族になって来ている訳で、半分を切っています。
この状態はどんどん悪くなります。
アメリカは少数民族、特に黒人を優遇するアファーマティブアクションをやっています。
アファーマティブアクションは、黒人やヒスパニックを白人やアジア人よりも優遇するということで平等に扱っておらず、もともと憲法違反なのです。
今年か来年に、このアマーマティブアクションを最高裁が違憲であると判決を出す可能性がとても強いのです。
アマーマティブアクションがないと黒人は進学や就職で行き詰まってしまうので、違憲判決が出れば暴れ出すでしょう。
人種問題はどんどん悪くなります。

もうひとつアメリカはキリスト教の価値判断、もしくはプロテスタントの価値判断によって成立した国なのですが、最近、キリスト教の信者が凄い勢いで減っています。
アメリカという国はアングロサクソンが作った国なのですが、アングロサクソン的な政治文化というものも失なわれています。
最近の連邦議会、民主党と共和党の関係をみていると、ハッキリ言ってののしり合いになっています。
ののしり合っているだけで、日本の与党と野党よりももっと酷い状態です。
議論しようという態度がないのです。
特に民主党側はそうなのです。
議論する態度がないということをキャンセルカルチャーと言います。
これを民主党の連中がやるのです。
「あんたと口をきいても無駄だ、あんたの意見など聞くつもりはない」などとやるのです。
こういう状態を続けるとどうなるかというと、アメリカの国内がバラバラになって行く訳です。

僕の大好きなハーバードのサミュエル・ハンティントン、彼は10年くらい前に亡くなりましたが、彼がどう言っているかというと、彼は1990年代の後半からアメリカに対して5つの予言をしています。
それは何かというと、

1.アメリカが目指している世界の一極化は失敗するであろう!
2.アメリカ国内の人種対立は益々悪化して行くであろう!
3.プロテスタント倫理とアングロサクソン的な政治文化を失ったアメリカは、国家のアイデンティティー(我々アメリカ人とは何かということ)を失って、非常に不安定な帝国となる!
4.アメリカ国民は、中国の拡張主義に対抗し、長期の覇権闘争を続ける意志力と精神力を失うであろう!
5.アメリカはいずれ東アジアから撤退して行くであろう、そして日本は中国の勢力圏に吸収されて行くであろう!

これがハンティントンの5つの予言です。
僕は、この5つの予言は当たると思います。
この予言が実際になるのは2030年代の中頃になると思います。

日本が中国の属国になるシナリオを3つ言いましたが、もし日本が、アメリカ政府が日本に押し付けて来た3つの巨大な嘘=占領軍憲法の嘘、日米同盟の嘘、核の傘の嘘=を受け入れ続けるのなら、日本はいずれ中国の属国になるでしょう。
そして日本は、数年後か十数年後に滅びるであろう、というのが僕の見解です!

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アメリカの日本に対する3つの巨大な嘘、いかがでしたでしょうか?

今年古希(70歳)になる私のようなシニアには、ずしんと心に響く、さもありなん、と納得の行く内容でした!

これからを生きる若者には、ぜひとも、日本という一国として皇紀2683年、延々と続いている日本の素晴らしい国体を絶やすことのないように政治家に活をいれて欲しいと切に願っています!
学校で中国語が強制されたり、日本語が話せなくなったりするのは、日本人なら絶対に嫌な筈です!
若者が未来を切り開かなければなりません。

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<参考サイト:日本を滅ぼす3つの巨大な嘘>