アメリカワシントンD.Cに30年居住し、世界の政治的な国際情勢を常に見据えている伊藤貫氏のロシアウクライナ戦争に対する見解を口述筆記することで纏めてみました。

ITOUKANN (640x417)

僕はクリントン政権からアメリカはロシア政策に失敗していると思います。
それは僕が個人的に言っていることではなく、例えばアメリカにジャック・マトロック大使という方がいまして、彼はレーガン政権の最初からホワイトハウスのソ連担当官でした。
1987年から1991年にかけて=レーガン政権からブッシュ政権にかけて=アメリカの駐モスクワ大使でした。
冷戦を終わらせたのも彼がゴルバチョフと一対一で交渉した結果です。
そういう人物ですからロシアのことに関しては一番よく知っています。

彼は大使を引退した後に、エール大学から「スーパーパワーイリュージョン=超大国の幻想」という本を出して、その中で何を書いたかというと、クリントン政権とブッシュ政権、オバマ政権においてロシア政策は間違っているということを示しました。
何故ならば、レーガンもゴルバチョフも本当に対等な立場で、友好国としてのポジションを確保しながら、米露の新しい関係を創れると思っていました。
ジャック・マトロック氏も大使として交渉していて、これでやっとノーマルな関係になれると思っていたのです。

しかし、クリントン政権になってから露骨にロシア潰しを始めました。
クリントン政権が何をやったかというと、アメリカとイスラエルの金融業者、特にゴールドマンサックス、ヘッジファンドのジョージ・ソロス、またイスラエルの金融業者、こういう連中がモスクワに乗り込んで、非常に急激なショックセラピーと言われる、豊富な資源国ロシアの国有財産の急速な民営化を行わせたのです。
そうやってロシアの国富を乗っ取りました。
そのために動いたロシア人の8割は、イスラエルとロシアの二重国籍者でした。
その二重国籍を持っているロシアの金融業者が、約8割の国有財産を乗っ取りました。
それに協力したのがイスラエルの金融業者とアメリカのゴールドマンサックスに代表されるような金融業者で、特にゴールドマンサックスは当時ロシアでやりたい放題でしたが、クリントン政権はそれを由としていました。

これによりロシア経済はガタガタになり、1987年のロシア人男性の平均寿命は67歳だったのですが、10年後の1997年には平均寿命は57歳と激減しました。
たった10年で10歳も平均寿命が下がってしまったのです。
どれだけ酷い状態だったかということが想像できます。

クリントン政権はこれを放置していました。
国務省、財務省、CIA、のモスクワ駐在の担当官が、これは(急激な民営化による国有財産の乗っ取り)もう止めさせて欲しい、とクリントン政権に嘆願しましたが、ルービン財務長官(前ゴールドマンサックス会長)、アラン・グリーンスパン(FRB議長)、マドレーヌ・オルブライト国務長官等が全部握り潰しました。

この時点で、既に米露関係は非常に不味い状態になっていました。

更に悪いことにパパブッシュ大統領時代にアメリカ政府は、ロシア政府に対して、NATOを東側には絶対拡張しない、ロシアを封じ込めるようなことはしないし、ロシアをアメリカの軍事同盟国で包囲するようなことはしない、と約束しましたが、その舌の根も乾かぬうちに次のクリントン政権は東欧の国々をNATOに取り込んで、軍事的にもロシア包囲網を構築してしまったのです。

クリントン政権時代に、既にロシアはアメリカに裏切られ、完全に騙されたと知ったのです。

次のブッシュ政権は2003年に、イラクが大量破壊兵器を持っていると嘘をついて、イラク侵略戦争を始めて、中東を固めようとし、中東からロシアの影響力を排除しようとしました。

また2008年のブッシュ政権時に、ロシアにとって過去300年間共存してきたグルジアとウクライナをNATOの軍事同盟国にすると言い始めました。

パパブッシュが約束したことを息子が露骨に破って反故にしようとしたのです。

ロシアは、国有財産の搾取で裏切られ、また軍事的にも裏切られ、業を煮やすことになります。

次のオバマ政権では、2014年にウクライナで、正当な選挙で選ばれた親露派ヤヌコビッチ大統領を切るためのクーデターを起こしました。
実際はクーデターでしたが、これをマイダン革命と言っています。

ヤヌコビッチ大統領の選挙基盤は東ウクライナで、この地域は新露派が7割〜8割を占めています。
これをアメリカ国務省とCIAは気に食わないということで、クーデターで引きずり降ろし、失脚させられました。

アメリカは世界中に民主主義をプロモートすると口では言っていますが、民主主義国で平気でクーデターを起こす困った国です。
例えば1953年にイランで民主的な選挙で選ばれたモサデク大統領をCIAがクーデターで倒し、次の年にはグァテマラで同じように民主的な選挙で選ばれた大統領をクーデターで倒しました。
1963年には、南ベトナムで民主的な選挙で選ばれた首相を国務省とCIAが南ベトナム軍に暗殺させて、アメリカに都合の良い独裁者を擁立したり、1964年にはブラジルで同じように民主的に選ばれた大統領を倒し、更に1973年にはチリで同じようなことをやっています。
大げさに言えば、数えたら切りがないほど色々なところでやっているのです。

そして2014年のウクライナなのです。

国務省のナンバー3は、ナンバー1=アントニー・ブリンケン、ナンバー2=ウェンディ・R・シャーマン、ナンバー3=ヴィクトリア・ヌーランドです。

このナンバー3のヴィクトリア・ヌーランドが、2014年当時、ロシアとヨーロッパ担当の国務次官補に、クーデターの真っ最中にキエフに飛んで、やれ〜、倒せ〜と号令をかけていました。
次の首相をヤテニックにしろと電話で話していたのをKGBに傍受されてしまいます。
アメリカ政府の駐ウクライナ大使が、ヨーロッパ政府は我々の強引なやり方に不満を持っているようです、とヌーランドに報告すると、ヌーランドは「FUCK THE EU」と怒鳴ったそうです!(笑)

このようにしてウクライナで新露派ヤヌコビッチ大統領を失脚させ、ウクライナをアメリカの属国にしたのです。

ここまで来て、ロシアはこれはいずれアメリカとの戦争になると確信します。
クリントン、ブッシュ、オバマとずっと裏切られました。

しかし、運の良いことに次にトランプが大統領になります。
4年間は戦争は起こらない。

そして今のオバマ政権の副大統領だったバイデン政権!
バイデン大統領と息子のハンターバイデンは、親子ともどもウクライナから何億円もの賄賂をもらっていました。これは事実です。

ウクライナから賄賂をもらっていた大統領のもとでロシアと戦争になることは目に見えていたことです。

日、米、欧のマスコミでは全部プーチンが悪いということになっていますが、僕のようにワシントンD.Cに住んでいて、クリントン政権以来、ロシアに何をやって来たかが分かっている者にとっては、これはやり過ぎではないのか、と思っているのです。

僕は、ウクライナ戦争が起こったことを非常に残念に思っていますが、これだけやられれば戦争になるよ!とも思っています。

今話した内容は、「表現者クライテリオン」に詳しく書いてあるので読んでいただきたい。

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ウクライナ戦争がどうして起こったのかを分かりやすく解説しています。
今のアメリカからの情報など、続きはまた書きます!

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<参考サイト:【東京ホンマもん教室×表現者クライテリオン】藤井聡・伊藤貫対談完全版 前編>