映画「殿、利息でござる」を見ました。

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私の住む仙台藩のローカルの地で実際に行われた美談を題材にした映画です。

時代劇は好きでよく見ます。

この「殿、利息でござる」は、パンチに欠けあまり面白いとは思いませんでした。
金を工面するシーンにもう少し工夫があっても良かったように思います。
そこがミソなのですからね!
金を持っている人は、そのまま金が出てくる。
持っていない人は私財を売って金に換える。
様々な人間模様があったとしても、単にこれでは詰まらない!

剣が絡まない映画では、「武士の家計簿」や「武士の献立」の方がずっと面白かった!

時代は1766年、江戸中期、仙台藩黒川郡吉岡宿が映画の舞台です。
現在の宮城県黒川郡大和町吉岡です。

当時の宿場町には、参勤交代の折に、宿場から次の宿場まで、馬を引いたり、荷物運びをしたりする伝馬役(てんまやく)という使役が義務付けられていました。
馬は宿場ごとに調達しなければなりませんでした。
その負担は、宿場町全体で負ったのです。

当時の吉岡宿は、比較的大きな宿場でしたが、凶作などのため、生活に困窮し、町を出る人が多くなり、住民が減っていました。
そういう状況での伝馬役は、ますます吉岡宿を困窮させて行きます。

これを脱する何か良い策はないか?
菅原屋(菅原)篤平治(すがわらやとくへいじ)と穀田屋(高平)十三郎(こくだやじゅうざぶろう)が最初に話し合い、菅原屋篤平治がある策を捻り出します。

当時の仙台藩は金欠で困っていました。
そこに目を付けた菅原屋篤平治(お茶屋)は、仙台藩に一千両貸し出し、その利息を伝馬役の費用に充てれば問題は解決するのではないかと!
藩に金を貸すなど夢物語か、と冗談めかしますが、乗り気になったのが穀田屋十三郎(酒屋)でした。

その話に乗る仲間を募ります。
最終的に9人が賛同し、私財をなげうって一千両を捻り出すのです。
賛同した9人は、一千両のことは他言無用とし、ただ吉岡宿の発展のために尽力することを誓います。
その顛末を描いたのが、「殿、利息でござる」です。

このことを後世に残そうと、吉岡の龍泉院で住職をしていた栄洲瑞芝(えいしゅうずいし)というお坊さんが、「国恩記」という記録を書きました。
この「国恩記」が現代に生きたのです。

「国恩記」によれば、賛同した9人は、菅原屋(菅原)篤平治(すがわらやとくへいじ)、穀田屋(高平)十三郎(こくだやじゅうざぶろう)、穀田屋(高平)十兵衛(こくだやじゅうべい)、浅野屋(遠藤)周右衛門(あさのやしゅうえもん)、早坂屋(早坂)新四郎(はやさかやしんしろう)、穀田屋(高平)善八(こくだやぜんぱち)、遠藤寿内(えんどうじゅない)、千坂仲内(ちさかちゅうない)、遠藤幾右衛門(えんどういくうえもん)です。

映画では、これに居酒屋の女将が加わり、10人の賛同者になっています。

現在の吉岡には、酒の穀田屋として、穀田屋十三郎の末裔が脈々と生きています!

江戸時代にローカルの地に今も語り継がれ、その業績に顕彰碑まで建立される美談があったことに驚かされます。
このことだけでも、この映画を見て良かったな、と素直に思います。