CS放送AXNミステリーチャンネルで、未解決事件特集が組まれました。
1948年、昭和23年の帝銀事件や1984年、昭和59年のグリコ・森永事件などです。

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昭和59年のグリコ・森永事件は、劇場型犯罪という言葉が躍った特異な犯罪でした。
コンビニなどに並ぶグリコの製品に毒を仕込み、「たべたら死ぬで」などと脅迫状を送り付け、現金を脅し取ろうとした事件ですが、グリコに止まらず、丸大食品、森永製菓、ハウス食品、不二家、駿河屋など食品企業を次々と脅迫し、その都度、現金を要求し、受取場所の指定をしましたが、1度も現金強奪には至っていません。
特異なのは、現金受取場所を指定するのに子供や女性の声を録音したテープを電話で流したことです。
この番組が収録された2011年の声紋分析の結果、男の子2名と10代の女性1名による録音であったことがあきらかになりますが、事件当時は単純に子供1名と30代〜40代の女性1名ということで、それに見合う家族集団を警察は捜査対象にしていたようです。

グリコの社長誘拐と身代金要求、カップルの女性を人質にその男性を使い現金運搬車両を奪わせる等しましたが、現金を奪取するまでは至っていません。

マスコミ各社に脅迫状を送り付けたことも劇場型犯罪と呼ばれる所以です。

脅迫された企業から裏取引で現金を奪ったという噂も流れています。
大々的な劇場型犯罪で、一銭も脅迫金を強奪できなかったということは信じられないことですが、表向きはそれはなかったことになっています。

事件当時は、警察が失態を犯してしまい、犯人と遭遇していながら犯人を取り逃がすことが3度もありました。
様々な理由がありますが、秘密主義や現場の警察官と指揮官との阿吽の呼吸がなかったことが不幸を生みました。
失態の責任を、当時の滋賀県警本部長は焼身自殺することで取ることになった、何とも後味の悪い結果になってしまった事件です。

家族ぐるみで、あるいは仲間集団で犯行に至った特異な事件でした。
捜査官が、狐目の男と2度も遭遇し、指揮官の判断でその場で身柄確保が行われなかったことが、今となっては悔やまれます。
高速道路で白旗が見えたら現金を放れという指示があり、そこに向かいましたが、その白旗の下で待機していた不審車両をたまたま警邏中のパトカーが職務質問しようとしたところ、猛スピードで逃げられ見失います。
末端の警察官まで、その日の捕り物が周知されていなかったことが、犯人を逃がすことになってしまいました!

昭和が後数年で終わるときに起きた犯罪者的には、昭和の終焉を飾るような、マスコミも巻き込んだ頭脳的犯罪ともいえ、犯罪の司令塔「かい人21面相」として印象に刻まれる事件であったことは間違いありません。