政治家に夢を持てない時代が続いています。
それは単に国民の心を高揚させるビジョンが示されることがないからです。
凡そ半世紀前にJ・F・Kが60年代までに人間を月に立たせることを宣言しました。そこには掛け値なしの夢がありました。その夢は実現しアメリカの威信を示したわけです。アメリカ国民、それにとどまらず世界の人々が夢を見させていただいたことは間違いのないことです。
例えは適切ではないかもしれませんが、日本の政治に欠けているものは、このビジョンのなさにあるように思います。
この製造業の未曾有の不況によって雇用不安は極限に達しています。どのようにして新たな雇用を生み出すかが焦眉の急となっています。
その焦眉の急を打ち消す策は簡単ではありません。それはMADE IN JAPANの輸出で日本経済が基軸として回っている以上、仕方のないことでもあります。
内需の拡大をどのように創出するかが問題です。
高齢化社会は着実に歩を進めています。介護、医療に力点を置くべきことは誰が考えても明らかです。残念ながら両者とも崩壊の道を進んでいるように思えてなりません。
介護を支える人々がゆとりを持って仕事ができる仕組みを整備しなければなりません。給与が安すぎることは介護で働く人々の最も顕著な介護離れの原因でしょう。
選挙近しというタイミングの悪さもありますが、総需要増を目論む、それよりも旧態依然とした選挙対策なのでしょうが、定額給付金などという差ほど効果の望めない経済政策などは止めて、その2兆円を介護に注ぎ込めば、そこには需要が蓋然性としてではなく必然性として存在しているので、それを賄う雇用が生まれるのもこれまた必然というものです。
次の総理大臣は誰になるかは判りませんが「5年後までに介護で働く人々の給与を倍増します」くらいのビジョンを高らかに宣言してほしいと思います。
エネルギーも新たな雇用を生み出す対象となるでしょう。後20年もすればガソリン車が廃れ行くであろうことは誰が考えても明らかです。地球温暖化と約40年後と言われる原油枯渇の蓋然性がフューエルセル、燃料電池の開発を加速させることは必須です。
この分野でも日本の技術は他国に先んじています。新たな雇用を生み出す起爆剤となるでしょう。
「10年以内に燃料電池の開発を終え、20年以内にすべての車を電気自動車する」このくらいのビジョンを打ち立ててほしいと期待して止みません。